うさぎの島で芽生えた、テントへの愛着
慣れ親しんだ物事に深く心を惹かれ、離れがたく感じることを‘愛着’と人々は言う。犬や猫などのペットを飼ったことがある人はわかるだろうが、一緒に過ごした時間の分だけ愛着は大きくなる。そして失った時の大きさにも比例する。幼稚園時代、カブトムシの幼虫だと思って拾った幼虫が、カブトムシではなくコガネムシの幼虫で、愛着を持って育てていたカブトムシの幼虫を食べつくしてしまった時には、愛の尊さを学んだ。
もちろん、愛着はペットなどの有機物だけではなく、物などの無機物にも湧く。どちらの愛着にも共通していることは、苦楽を共にした物事には、人間は自然と愛着を持ってしまうということ。そんなことでつい最近テントへの愛着が芽生えた。
はじめてのきゃんぷ
まずテントを組立てる前に、断熱シートを敷く。この一枚があるかないかで、地面からの冷たさはまるで違う。どれくらい違うかと言ったら、 HUNTERXHUNTERの兵器ブリオンと、平昌オリンピックのモルゲッソヨ像くらい違う。
次に骨格を組み立てる。都会出身のもやしっ子でも説明書通りにやれば、ひょひょいのひょいひょいで組み立てられる。
でなんだかんだいって、人間でいう骨と筋肉の部分ができるあがる。ここまでくれば後少しだが、読むのに疲れを感じていると思うので、箸休めとしてうさぎの写真を放り込んでおく(キャンプした場所は大久野島といい、別名うさぎ島と言われるほど、野生のうさぎがたくさんいる。)
そしてうさぎを見ているうちに完成。できたてほやほやのテントを、母親のような慈愛深い目で見つめてしまった。
後ろからのショット、
横からのショット、
ちょっと引きでのショット。子供ができるとやたらと写真を撮りたくなる、親心がわかった気がした。愛着があるものは時間を超えても、傍においておきたくなる。写真はそれにうってつけのツールなのだろう。
日が落ちてくるといい感じにインスタ映えする感じになってくる。
周りに人工的な街灯はほぼなく、星明りだけが僕たちを照らしていた。そんなポエティックな明かりだけでは、夜ごはんも作れないので、僕たちは静かに人工的なライトをつけた。
テントは手短に苦楽を共にでき、愛着を感じることができるアイテムではないだろうか。この初めてのテント作りは大きな一歩になった。この一歩をきっかけにどんどんキャンプにのめり込み、キャンプ道具を買いそろえ、年間数十回に及ぶキャンプライフを送っていくだろう。なんてことは、まるでない。